海外の小説を読む楽しさは、日本とは違う国々の思想や生活様式を見ることができることだと思います。
特にミステリものだと、組織の体系や法律などの違いも面白さの一つです。
特捜部Q 檻の中の女
特捜部Qシリーズの第一弾。
このブログを書いている時点でシリーズは7作あります。
映画化もされていて、 わたしは映画を先に見てから原作を読みました。
映画が面白かったので、原作が気になりすぐに手に取りました。
ハヤカワポケットミステリーブック
ページが黄色くて、デザインも素敵( *´艸`)
舞台はデンマーク。
コペンハーゲン警察本部、殺人課の刑事であるカールは、ある事件で1人の部下を失い、もう一人の部下は脊椎損傷の重傷を負ってしまいます。
もともと人間関係を円滑にするタイプではなかったため、事件後ますます孤立状態に陥ってしまいます。
ついには新設された未解決事件を専門に捜査する「特捜部Q」へ追いやられてしまうのです。
カールの方もただ黙って閑職についている気はなく、上司と巧妙な交渉をしつつ物置小屋のような職場にパソコン、プリンターなどを導入してもらい、最終的には助手まで雇うことに成功しました。
もとより未解決事件の捜査をするつもりがなかったカールですが、予想外に個性強めの助手のアサドが登場!
自殺として片付けられていた女性議員の事件の再捜査を余儀なくされてしまいました。
2002年の失踪当時からの被害者と2007年の現在のカールたちが交互に登場して、過去の事件がまるでリアルタイムで起こっているような感覚になります。
特に被害者視線で描かれているシーンは彼女の苦しみや悲しみが伝わってきて、犯人に対する恐ろしさや怒りが湧いてきます。
被害者であるミレーデはその美貌もさることながら、強靭な精神の持ち主で最後の最後まで犯人との戦いをやめませんでした。
犯人のミレーデに対する仕打ちにはきちんとした理由があるわけですが、それでもなおわたしは犯人が許せませんでした。
助手のアサドは映画とまったくキャライメージが一緒で、違和感なく読み進めることができたのが良かったです。
むしろ原作の方がキャラが立ってます・・・( ゚Д゚)
カールの想像の斜め上をいき、カールは振り回されています。
ですが彼がいたおかげで事件が解決したといっても過言ではありません。
シリア人の彼がデンマークに移住した経緯はちょっと複雑で、彼自身はそこには触れて欲しくないと。
そんなアサドを受け入れたカール。
見事なコンビネーションで事件を解決に導いていきます。
カールは映画の方が事件にのめり込んでしまう正義感の強さを感じますが、原作はクセ強めのおっさん刑事です。
家庭にも問題を抱え、部下を失った事件でも傷心状態。
仕事も左遷されたあげく、いいなと思った女性には手ひどく振られ、不本意な内容の新聞報道までされる始末です。
そんなギリギリな状態なので、過呼吸に陥ったりしてしまうカールですが不思議と悲壮感などはありません。
じりじりと真相に迫っていく姿は、やはり優秀な刑事なのだなと感じます。
2人の活躍で、事件も無事に解決しました。
色んな意味で傷跡が残ったおぞましい事件でしたね。
こんな事件が実際に起こったらとても怖いです。
最後のページでわたしもカールとともに救われたような気持になって読了しました。
こちらは映画もおススメです(*^-^*)