虫が嫌いだと「うっ・・・」っとくるかも??昆虫学者の捜査官

 

自分の周りで虫が大好き!という人はなかなかいないと思います。

わたしの場合は小学生の甥っ子がそんな少数派の人間です。

彼が保育園の頃は、延々と近所の野原でバッタ採りに付き合わされた

ものです。

満面の笑みでバッタを捕まえた画像もスマホに残っています。

 

あれだけ虫が好きだと(最近は標本作りたいと言ってます)

将来は、昆虫学者というのもアリなのかもしれないですね。

 

そんな昆虫学者が犯罪捜査に挑む

 

法医昆虫学捜査官

 

法医昆虫学捜査官 (講談社文庫)

法医昆虫学捜査官 (講談社文庫)

 

 

全体的な話は面白かったです。

蛆に内臓のある部分を食い尽くされた焼死体の解剖シーンという

ショッキングなところから物語は始まります。

グロい・・・と思えるのはこの辺りだけですが、ムシが大嫌いな人は

かなり抵抗あると思われます。

試験的に捜査権を与えられた法医昆虫学者・赤堀が捜査に加わり

岩楯刑事と将来はプロファイラー希望の鰐川刑事とともに

事件の謎を解明していきます。

 

登場人物もそれぞれに魅力的で、昆虫学者の赤堀さんはサバサバして

元気が良いのがとても清々しい。好きなタイプです。

岩楯&鰐川の刑事コンビも相性が良く、岩楯刑事の家庭環境はあまり

芳しくはありませんが家庭内別居になるほどギスギスもしていないので

疲れずに読み進めていけます。

最初、こんな奥さんはちょっとキツイなあ・・・と思ってましたが

岩楯刑事との会話を見ると、なかなか憎めないところもあったりします。

 

ただ、残念なことに法医昆虫学捜査官と銘打っているわりには

ほぼ岩楯刑事の主観で進んでしまいます。

岩楯刑事は即断即決、頭の回転も速く、同僚の仕事の評価も正当で

会社の先輩にいたら頼りになるなぁと思います。

その反面、刑事がそんなに先入観や偏見を持っていいのだろうか?と

思う部分も多々ある人です。

 

赤堀さんに関しては普段の昆虫学者は何をしているかもっと知りたかった。

序盤にちょっと触れているだけなのが物足りなさを感じますね。

捜査権を与えられ、研修もしているわりには単独行動するのに

2回も所在を告げないという(1回目は岩楯刑事に注意されている)のが

気になってしまいました。

 

そして鰐川刑事のプロファイリング・・・個人的には

ない方が良かったと思えてなりません。

プロファイラー志望じゃなく、普通の刑事の設定じゃダメだったのか?

正義感が強く、なかなかのいじられキャラで十分に個性発揮してます。

聞き込みも事情聴取も岩楯刑事が行ってるので、全く特技が活かせて

いないんです。

 

しかも犯人のプロファイルもされないまま、犯人逮捕(´;ω;`)

犯人に関しても、後半バタバタとコンパクトにまとまってしまい

「プロファイリング」という捜査手法を出すならもっと人物考察を

丁寧にした方が面白さが増したと思うのです。

実際の元FBIのプロファイラーの書籍も読んていて

FBIプロファイラーが活躍する海外ドラマのファンなだけに

不完全燃焼です。

 

最初に「法医昆虫学」というテーマがあるので、そちらにもっと焦点を

合わせて濃ゆ~く作って欲しかったなぁと。

 

ちょっと不満な点がてんこ盛りになっちゃいましたが(;゚Д゚)

登場人物は全員愛着が持てて、ストーリーの進み方も

テンポが良く、とても読みやすいです。

 次回は赤堀さんがもっと、活躍してくれますように。

 

 

FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記 (ハヤカワ文庫NF)

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