カフェを舞台にしたミステリーは案外日常の謎ときの要素が多くて、殺人事件を扱っているものは中々出会いません。
カフェという和みの空間で殺人事件が起こるのも 、ちょっと物騒な気もしますね。
設定上、シリーズ化は難しそうですよね?
探偵役の店主やスタッフが殺人事件に何度も出くわすのも(-_-;)不吉です。
カフェ好きの刑事さんが主人公のものならアリでしょうか。
今回ご紹介するのは、カフェではなく「純喫茶」です。
純喫茶「一服堂」の四季
鎌倉の知る人ぞ知る純喫茶「一服堂」
まず店自体を見つけるのが困難な上、看板が板きれ1枚。
そして店主は極度の人見知りの安楽椅子探偵。
タイトル通り、春夏秋冬の四季に起こった猟奇殺人事件を一服堂の店主が華麗に解決していく推理小説です。
この作品は、連作になっていて四人の登場人物の視点で描かれていて
事件が起きる(問題)
↓
主人公が一服堂で推理する(回答)
↓
一服堂の店主の謎解き(答え合わせ)
という王道のパターンで構成されています。
一般的な推理小説は大体この形ですが、余計な肉付けをしていない分ストーリーがとてもスッキリとしていますし、自身で謎解きできるラインまで読み進めて謎解きする前に考えることもできます。
猟奇殺人事件ながら、登場人物が明るすぎて凄惨さを感じないのも楽しいポイントではないかと思います。
テンポよく進んでいくので、途中でダレることもありません。
講談社から出版されていますが、作中の登場人物の勤め先が「放談社」だったり、作者の東川篤哉さんの名前をもじった人物が出てきたり・・・なかなか設定が楽しいです。
普段は極度の人見知り・・・というか接客業なのに対人恐怖症気味の一服堂の店主が謎解きになった途端、どSなくらい強気で毒舌のギャップが良いです( *´艸`)
特にどんでん返しなどはなく、純粋に推理を楽しめますが・・・・最後の「冬」では時系列の設定に「あれ?」となります。
そして最後にその違和感は氷解するのですが、なかなか壮大な時間設定だったな・・・と思いました。
ただ、冒頭でお話ししたように探偵役の店主がそうそう殺人事件に出くわさない点を考えるといい設定ですね。
猟奇殺人事件というテーマながら
コミカルでついつい読み進めてしまう1冊です。
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