★レビュー★ゆっくり珈琲を飲みながら読んで欲しい「珈琲屋の人々」

 最近、珈琲にまつわる本を読むのが自分の中で流行っています。

探してみると多いですね。

カフェを舞台にした本自体が多いので、探すとたくさん出てきます。

こんなにたくさんあると、埋没してしまう作品もあるだろうなぁ・・・と思います。

なるべくたくさんの本を読んでご紹介していきたいです(*^-^*)

 

今回は、NHKでドラマ化もされている1冊。

高橋克典さんが主演されています。

珈琲屋の人々 

珈琲屋の人々 (双葉文庫)

珈琲屋の人々 (双葉文庫)

  • 作者:池永 陽
  • 発売日: 2012/10/11
  • メディア: 文庫
 

 

 総武線沿線にある小さな商店街が舞台です。

その商店街の人たちが、「珈琲屋」に集う人間模様を描いています。

 

この作品に登場する人たちの悩みや想いは、本当に様々です。

でも重い悩みを抱えています。

そんな人たちが足を運ぶ珈琲屋のマスターの行介は前科があります。

 

卑劣な地上げ屋を相手にカッなって、殺めてしまいました。

商店街の人たちはそれを承知して、珈琲屋に来るのです。

 

「人を殺した手だ」

そういう目で行介の手を眺め、そしてその手で淹れた珈琲を味わうのです。

 

行介は、仮出所も断りしっかりと刑に服して出所していますが、人を殺した罪は一生かけて償うものと心に決めています。

例え極悪人であったとしても、自分が殺してしまった罪は重い。

 

ここまで読むと、暗い話なのかな・・・と思いますよね。

確かに明るい感じではありません。

でも、暗いというよりは穏やかです。

少なくとも珈琲屋は穏やかな空気で満ちています。

行介が丁寧に淹れる珈琲が美味しそうで、わたしも一口飲んで「美味しい」と言ってみたい・・・(*´з`)

 

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読んでいて、どうしても飲みたくなって珈琲を淹れてしまいました( *´艸`)

珈琲の香りって癒されますね。

 

行介は実直で、なんとなくこの人に話したいと思わせるところがあります。

元恋人の冬子との恋も再燃しそうですが、行介はなかなか踏み出せません。

幼馴染の島木はなんとか2人の仲を取り持とうとアレコレ世話を焼こうとしますが、返って裏目に出てしまったり・・・。

でも「冬子が好きだ」とストレートな言葉を普通に口に出せる潔さもあって、わたしは好感度が高いのです。

 

行介の想い人である冬子。

多分、女子に嫌われるというか・・・嫉妬の対象になりやすいタイプですね。

でもわたしは冬子が大好きです。

彼女の人間性にたまらなく惹かれてしまいます。

 

登場人物の心情が緩やかに、くっきりと描かれています。

内容は非日常的でありながら「ああ、こういう人いるよね」と、身近に感じるものがあって惹き込まれていきます。

読んでいて心地よい作品でした。